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美容業界でのバイオ素材の活用法
バイオテクノロジーと聞いて、美容やスキンケア製品のことを思い浮かべる人は少ないかと思います。スキンケアとは関係ないように思われますが、実はバイオテクノロジーは美容業界において、非常に重要な役割を果たしています。これらの成分は、美容製品の効果を高めるだけでなく、従来の成分に比べて環境にやさしく、クリーンな成分となっています。
バイオテクノロジー素材は何年も前から存在していましたが、今まさに注目されています。これは、新しい技術の導入により、バイオテクノロジー成分をより多くの製品に使用できるようになったことが一因となっています。ペプチドやヒアルロン酸、スクアレンや発酵多糖類など、すでに長い間使われてきた成分もありますが、今では新しいものが出てきており、スキンケア業界を席巻する勢いといえます。
バイオテクノロジー成分とは?
スキンケア製品に使用されるバイオテクノロジー成分の多くは、酵母や酸素、バクテリアなど、DNAを操作できる微生物から作られています。バイオテクノロジーとは、これらの原料が製品の中で効果を発揮するように、DNAを操作するプロセスのことを言います。
バイオテクノロジーがもたらす美容への効果
環境や経済、そして肌に効果的な美容製品に、バイオテクノロジーを使用することは多くの利点があります。
簡単にできるクルエルティフリー
動物の肝臓から採取された製品と言われ、欲しがる人は少ないと思います。元々サメの肝臓から採取されたスクアレンが含まれる製品のように、多くの製品がクルエルティフリーを謳うことはできませんでした。今日、バイオテクノロジーのおかげで、スクアレンはオリーブのような植物源から採取できるようになりました。他にも多くの化合物が、微生物を増殖させ、代替品から成分を作ることによって再現できるようになりました。
より有効な成分
多くの場合、天然成分が体によく効くことがわかっていますが、同じ成分でも少し変化させるだけで、さらに効率的かつ効果的になる場合があります。その代表例が、砂糖から開発された保湿成分であるキシリチルグルコシドです。皮膚のたんぱく質や酵素を活性化させる働きに優れており、合成しなければその効果は得られません。
もう一つの例はコラーゲンです。コラーゲンは以前から肌に効果があるとされていますが、バイオテクノロジーで生成されたコラーゲンはさらに効果があがっています。実際に皮膚の表面から内部に浸透するように作られており、内側からシワを埋めることで、よりふっくらとした肌になります。
より多くのサステナブルな製品
長い間、人々はより環境にやさしいスキンケアや美容製品を求めてきました。通常、製品に香りを加えるためのローズオイルを生成するには、何百万枚ものバラの花びらが必要でした。そこで、バイオテクノロジーを利用し、酵母を発酵させて同じ香りを作り出すことができたため、花びらを摘むためだけにバラを栽培する必要がなくなりました。
環境への配慮
バイオテクノロジーで作られた原材料は、体に良いだけでなく、環境にも優しいと言えます。先ほどのバラの栽培に、どれだけの土地と水が必要か想像してみてください。何エーカーといった土地と何千ガロンもの水を使う代わりに、今では研究室ですべてを再現することができるのです。
バイオテクノロジーを用いた原材料は、資源をほとんど必要としないため、より経済的で効率的になります。また、収穫速度が速いため、二酸化炭素の排出量も少なくなり、愛用している多くの製品がこれまで以上に環境に優しいものとなります。
汚染物質が少ない
畑で育てられたものには、何らかの汚染が含まれている可能性があります。地面や雨に含まれる重金属が植物に吸収され、最終的に製品に混入してしまうのです。また、多くの植物には農薬が使用されており、加工の過程で美容製品に混入する可能性もあります。
美容におけるバイオテクノロジーの潜在的なリスクとは?
スキンケアをはじめとする美容分野で、バイオテクノロジー成分を使用することには、明確なメリットがあります。高品質である点はもちろん、最終的な効果も優れており、安価である点です。
しかし、最近では遺伝子組み換え作物の問題がクローズアップされており、スキンケア製品に遺伝子組み換え作物を使用することに、懐疑的な見方をする人がいます。全体的にみて、バイオテクノロジーを使用している化粧品やスキンケア製品は、使用していない製品よりも安全性の評価が高いと言われています。それには正当な理由があります。
ある研究によると、科学者たちは、人間の肌や成分の表記、性能などを注意深くチェックし、処方や配合を行う際など、ユーザーの手元に届くまでの過程を調査しました。これらのテストの結果、市場で販売されるまでの過程は、安全性が高いだけでなく、実際の効果も高いことがわかりました。
バイオテクノロジー成分は、汚染物質が少なく成分の安全性が高いうえに、市場に出る前のテストによって、その効果も保障されています。
バイオテック美容製品の例
あなたが普段愛用しているもので、すでにバイオテクノロジーを使用した製品があるかもしれません。Mibelle社の「IceAwake™」のように、次世代の注目すべきブランドもあります。この製品は、スイスにある氷河の下の地面から分離された細菌抽出物をベースにしたアンチエイジングスキンクリームで、抗酸化作用があり、肌に活力を与えるとともに、シワを防ぎ、特別な輝きを与えてくれます。
Geltor社は、年齢を重ねた肌の弾力性を助ける「Elastapure」を開発しました。これは、従来は動物由来だったエラスチンを発酵させることにより、世界初の完全植物性エラスチン成分の生成となり、歴史的な開発になっています。
また、肌に働きかけるよう開発されたBiophile社の微生物叢製品にも注目されています。バイオテクノロジーが開発したプロバイオティクス(※)は、一般的な疾患に働きかけ、湿疹やニキビの発生を抑える効果が期待できます。
※ 人の体内に自然に存在する微生物と同じ、または類似の生きた微生物
バイオテクノロジー成分の今後の動向が気になるところです。以前から存在していましたが、最近はスキンケアや美容製品への組み込みが急速に進んでいるため、近い将来にはもっと多くの製品が登場することが期待できるのではないでしょうか。