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チャットボットがあなたの診療を変える

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チャットボットがあなたの診療を変える

最高品質の患者体験を提供したいと考えている医師や医療従事者にとって、テクノロジーの導入面倒な作業の一つでしょう。しかし同時にデジタル化をすれば、多くの時間と費用を節約することができます。また、多くの場合、医療従事者が相手にしているのは、きめ細かいケアや人間的なふれあいを必要とする、脆弱な立場の患者さんではないでしょうか。

コロナウイルスの流行によって、私たちはテクノロジーとの関係についてさらに考えさせられることになりました。そして多くの医者が、遠隔医療を急ぎ導入する必要性に迫られ、遠隔医療の利用率は、2019年の11%から2020年には46%に跳ね上がったのです。その結果、患者と医者との間にシームレスな環境ができたため、患者はより快適に診療が受けられるようになったようです。

チャットボットはまさにこの状況にぴったりフィットするツールです。チャットボットは、温かく、かつレスポンス良く患者とやり取りができるため、患者の診療体験を向上させることができます。また、プロセスが自動化されているため、作業負荷が軽減され、必要なところにリソースを集中させることが可能です。

このようなデジタルアシスタントが、医療従事者にどのような価値を提供できるかを見てみましょう。

 

チャットボットとは?

チャットボットは、インターネットを利用している人であれば見たことがあるのではないでしょうか。多くのウェブサイトには、閲覧中に表示される小さなチャットウィンドウがあります。このウィンドウは、FacebookやLinkedInなどのサイトのメッセージング機能と同じ形式で表示され、まるで担当者とチャットしているかのような印象を与えます。

しかし、あなたの話している相手は人ではなく機械なのです。

言い換えると、あなたが話しかけているのはAI(人工知能)です。このAIは、機械学習の一種であるNLP(自然言語処理)を使用して、あなたのメッセージをコンピュータが理解できるものに変換します。その後、AIは適切な応答を識別し、事前に登録されているメッセージまたはNLPによって生成されたテキストのいずれかで、あなたに返信します。

これは、AlexaやSiriのようなデジタルアシスタントを動かすのと同じ技術で、彼女たちも本質的にはチャットボットです。あなたもFacebook MessengerやWhatsAppのようなメッセージング・プラットフォーム上でチャットボットと接続したことがあるかもしれません。そんな時は、これらのチャットボット達がひょっとしたらニュースや特別なオファーについての会話を切り出してくるかもしれません。

これらのチャットボット達が実在の人物と混同される危険性はありませんが、チャットボットにはいくつかメリットがあります。たとえばテキストやメニューに苦手意識を持っているような人は、デジタルサービスを敬遠することがあります。そのような人がチャットボットを使えば、自然な言語でコミュニケーションを取ることができるので、デジタルサービスがより身近なものになります。

チャットボット、ロボット、AI

チャットボットがヘルスケアの現場でどのように活躍するのか?

医療従事者は、予約や請求書の支払いなどの管理業務を管理するために、カスタマーサービスのチャットボットを使用することができます。そして医師もヘルスケア・チャットボットをAIツールとして利用することが可能です。

市場には様々なツールがあり、それぞれが独自の機能を持っています。一般的に、ヘルスケアチャットボットは、患者に一連の質問をします。そして質問が終わると、チャットボットがすぐに患者にアドバイスするか、医師に詳細を送信します。

このアプローチは、以下のような場面に適用できます。

 

医療用チャットボットの特徴とは

医療用チャットボットは、患者が安全に管理された方法で、自分自身を診断できるようにサポートすることができるツールです。チャットボットは、事前に承認された診断の流れに沿って患者に一連の質問をします。一連の質問では、各回答が関連する次の質問につながるようになっています。

最終的に、患者は推定の診断結果と次のステップのリストを入手できます。診察が必要な場合は、チャットボットが診察予約の手配をしてくれます。胸の痛みがあったり意識を消失したりなど、すぐに治療が必要な場合は、チャットボットが医師との会話に誘導したり、ユーザーに911に電話をかけるように指示したりすることができます。

しかし、ヘルスケア・チャットボットに関する調査では、多くの医師がそのようなチャットボットへの依存を懸念していることが示されています。(チャットボット依存のリスクについて)また約74%の医師は、患者が自己診断することへのリスクが大きいと考えています。また同数の医師が、患者が診断内容を理解していないかもしれないことに懸念を持っています。

だからこそチャットボットは、優れた臨床の経験と連動できれば、最高の機能を発揮できるのです。各患者のファイルにチャットボットとのやり取りをすべて保存し、次回の診察時にフォローアップしたり、電話で連絡を取ったりすることも可能です。

 

応急処置

チャットボットは複雑な緊急事態には対応できません。そのため、ヘルスケアのチャットボットは、緊急事態には直接911への電話を指示します。

しかし、緊急の対応を必要とせず、応急処置のみの緊急事態はたくさんあります。そのような場合には、ユーザーは何をすればよいのか簡単に教えてほしいのです。例えば、軽度の切り傷や捻挫、あるいは風邪やインフルエンザのような一般的な病気への対処がこれに当てはまります。

チャットボットは、上記と同じ診断プロセスを使って、そのような情報を伝達することができます。チャットボットは、音声やビデオなどのマルチメディアで情報を配信することもできるので、プロセスを簡単に把握することができます。

応急処置のチャットボットは、積極的に応急処置について人に教えることもできます。ZobiBotは、メッセンジャーで救急に関する知識を配信するFacebookのチャットボットです。これは、人と交流し、医療知識を増やすための楽しくてわかりやすい方法です。

 

治療のマネジメント

長期治療は双方向の会話のようなものです。医療チームは常に患者と対話し、測定値を得て、治療計画に従うように注意を喚起する必要があります。一方、患者は質問をし、症状を詳しく認識する必要があり、時には安心感を求めることもあります。

しかし現実にはすべての患者に毎日必要とされる気配りをすることは難しいものです。そこでチャットボットの出番です。チャットボットは、患者と治療チームとの間の友好的なインターフェースとして機能することができます。具体的には次のようなことが可能です。

  • 服薬に関するリマインダーの送信と、きちんと服薬ができているかどうかの測定
  • 投薬量や治療計画以外の疑問を明確にする
  • 温度、血圧、血糖値などの毎日の測定値を収集する
  • 予約のスケジューリングとリマインダーの送信
  • 現在の治療計画に関する基本的な質問に答える

チャットボットは、患者が安心するような温かみのある人間の言葉で、これらすべてを行うことができます。もちろん、AIが治療チームの代わりになることはありませんし、それが目的ではありません。その代わりに、チャットボットは患者とチームの間の24時間365日のコミュニケーションの架け橋となるのです。

セルフケアとウェルネス

テクノロジーのおかげで、人々は健康管理を文字通り自分の手で行うことができるようになりました。プライス・ウォーターハウス・クーパーの調査によると、適切な機器があれば44%の人が自宅で心電図検査を行い、3分の1の人が小売店でもMRI検査を受けることができることがわかりました。

テクノロジーによって、人々は自分自身のヘルスケアをコントロールできるようになりました。ウェルネス(健康維持)への関心の高まりと相まって、患者は何かあったときに治療してほしいというだけではなく、健康を維持するための手助けをしてほしいと思っています。つまり健康的に生活するためのサポートを求めているのです。

チャットボットは、実用的なウェルネスアドバイスを提供できる優れたツールです。食事のアドバイス、運動のヒント、ウェアラブル端末から得られたデータの解釈など、ウェルネスに関する質問に対応できるようチャットボットを簡単にセットアップすることができます。チャットボットをWhatsAppのようなメッセージングプラットフォーム上で動作させる場合は、セルフケアや健康維持のためのヒントを定期的に発信することができます。

セルフケア、AI

ヘルスケア・チャットボットの導入方法

Florence、Babylon、Infermedicaなど、いくつかのヘルスケア・チャットボットが市場に出回っています。これらはすべて、広範な医療データベースからビデオチャットに参加できる仮想アバターまで、さまざまな機能を提供しています。

医療従事者がチャットボットの導入する際にはいくつかの重要なステップがあります。

  • チャットボットがどのようなサービスを提供するかを設定する

既存のアナログサービスとどのように統合しますか?例えば、チャットボットが必要に応じてオフィスの誰かに会話を伝えられるようにしますか?それとも患者が電話をかけるようにしますか?

  • 会話のフローチャートを作成する

チャットボットの会話は、定義付けられたフローチャートに沿って行われます。AIの発展に伴い、特に汎用的な設定では、これらのフローチャートはますます複雑になっていくでしょう。しかし、ヘルスケアチャットボットは、患者が正しいアドバイスを受けられるよう、常に厳格なパラメーターの範囲内で会話することになります。

  • ライブラリを構築する

ヘルスケア・チャットボットは、実際には医療知識を持っているわけではありません。必要な情報を提供するのは自分自身です。多くの既製のソリューションには医療知識ベースが含まれていますが、独自のコンテンツを含むように拡張することができます。

  • 人と人がつながりやすいようにする

チャットボットは様々な方法で導入されます。ウェブサイトにチャットボットを組み込んだり、チャットボットの周りにアプリを構築したり、WhatsAppのような既存のプラットフォームを介して接続したりすることができます。

  • ユーザーの声に耳を傾ける。

真の会話は常に患者と医師の間にあります。チャットボットは、両者のコミュニケーションの架け橋として機能するだけです。そのため、患者の声に耳を傾け、チャットボットを使った患者の体験を評価することが不可欠です。

どんなに技術が進んでも、AIが100%医師の代わりにはなりませんが、医師の一日を占める仕事の多くを処理することができます。ヘルスケアのチャットボットがあれば、病院のリソースを削減することができ、患者が自分自身の健康な生活をコントロールできるようになるでしょう。

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