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アプリレビュー:ドクターオンデマンド
健康の維持に重要な要素であるにも関わらず、ケアが最も遅れている分野がメンタルヘルスです。調査によると米国の成人の20%以上が何らかの精神疾患を患っていますが、治療を受けたことがある人は半数以下です。適切なケアがない状態では精神疾患が悪化する可能性はかなり高く、大きな問題となっています。
診療を受けた人であっても、精神疾患の症状が出てから治療を受けるまでは平均11年かかると言われています。その間精神疾患は悪化し続け、最悪の場合死に至ります。
ドクターオンデマンドはそうした心の悩みを抱えている人々がメンタルヘルスの専門家に助けを求めることができるアプリであり、今後の精神医療を変える可能性を秘めています。
ドクターオンデマンドとは
ドクターオンデマンドはテレビタレントの顔も持つ医師のフィル・マグロウがその息子であるジェイ・マグロウ、起業家のアダム・ジャクソンらとともに精神医療をより身近に感じてもらうことを目的に始めた遠隔診療サービスです。
ドクターオンデマンドでは総合診療医から心理学者、精神科医など複数の分野の心理療法家に、場所を選ばないビデオ通話で診察や診療を受けられます。利用に医師の許可などは必要ありませんが、現在はまだすべての保険が適用できるわけではありません。
利用の流れ
ドクターオンデマンドの利用は公式サイトでの登録が必要ですが、入力する内容は簡単なものなので時間はかかりません。アカウントの登録が終わると、その時点で予約可能な医師や心理セラピストを確認できます。それぞれの医師には経歴が記載されているので、それを元に自分に合いそうな人を探してみてもいいでしょう。
心理セラピーは主に、以下のような心の悩みに対して行われます。
- うつ病
- 不安
- 産後うつ
- ADHD
- トラウマ
- 悲しみ
- 人間関係の悩み
自分の病名がまだわからない場合はうつ病、不安神経症、ADHDのスクリーニング検査を受けることもできます。
自分の症状と診療を受けたい心理療法家を確認して希望が固まったら予約を行います。スケジュールを確認して希望日時を設定し、問診票の事前入力をしてから支払いを行います。
比較的予約が取りやすい傾向にあるのは企業に所属するメディカルドクターです。それ以外の精神科医や心療内科医などの場合、患者のほとんどは1週間以内に診察を受けられますが、予約状況によってはそれより後になることもあります。
予約手続きが完了したら、後はその時間にインターネット通信ができるところにいるだけで診療が受けられます。もし満足できなければ、次の回には別の人を選ぶこともできます。無料期間や定額制プランがないので同じ医師と診療を続けるかどうかは1回ごとに判断することができますし、複数の心理セラピストとのアポイントメントを設定してその中からかかりつけを決めることもできます。
ドクターオンデマンドではオンライン診断だけでなく精神科医による投薬や薬の処方、治療行為も可能です。認知行動療法(CBT)、弁証法的行動療法(DBT)、動機づけ面接、トラウマ焦点療法、支持的精神分析など、心理療法家によって様々な異なるタイプの治療を受けられます。どれがいいのかわからない場合は、まずいろいろな治療法を試してみるのがいいでしょう。
ドクターオンデマンドのすべてのコンテンツは米国の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令(HIPAA)に準拠し、医療情報の信頼性を保持する団体(HITRUST)の認証を受けているので、ユーザーの個人情報に対するセキュリティも万全です。収集した個人情報は安全に保管され、サービスの改善にのみ使用されます。
福利厚生として社員に医療サービスや保険を提供する企業が増える中、そうしたメンタルヘルス支援サービスとしてもドクターオンデマンドは人気を集めています。社員のメンタルヘルスをサポートするため、企業と提携して無料診療や診療費の補助を提供しています。
ドクターオンデマンドの長所と短所
ドクターオンデマンドは精神医療の分野でこれまでの対面診療に代わる選択肢として多くの人に利用されていますが、全ての事柄には良い面と悪い面があります。ドクターオンデマンドの長所と短所を比較してみましょう。
ドクターオンデマンドの長所
- 保険が使える
- 医師のプロフィールを確認できる
- 予約しやすく、すぐに診療を受けられる
- 身体の健康状態も診断してくれる
- 幅広い年齢層に対応
- ビデオ通話
- 医師による服薬管理サービスがある
ドクターオンデマンドの短所
- 無保険だと医療費が高くなる
- カスタマーサービスが貧弱
- ビデオ通話以外の診療方法がない
- アプリの使用方法によっては治療が制限される
- 機能を使いこなせない人もいる
心の悩みを抱えているが精神科への通院に抵抗があるという人にとっては、ドクターオンデマンドは良い選択肢になるでしょう。診療費は先払いですが、通院では診療を受けることが難しい専門家とも繋がることができます。
結論
ドクターオンデマンドには多くの利点があります。自らの精神面の問題を認めるのは難しいことですが、このサービスが診療への多くの障壁を取り除き、ハードルを下げてくれるでしょう。予約から診療まで全てオンラインで完結するという手軽さは、精神医療をより身近なものにしてくれます。
コストが高いなどの問題点もありますが、大多数の人はドクターオンデマンドのサービスに満足しており、多くの医師の中からかかりつけを選べることを喜んでいます。現在、精神面で専門家の助けを必要としていながらも通院が難しい人にとっては、オンライン診療は間違いなく価値のある選択肢です。以上のことから、ドクターオンデマンドのサービスは価格に見合う価値があるといえるでしょう。