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モバイルアプリがもたらすヘルスケア改革
新型コロナウイルスによるパンデミックは、医療産業にこれまでない急速な変化をもたらしました。ステイホームの中、健康に不安のある人がビデオ通話を使って家で医師の診察を受けるという新たな医療の形が広がっていますが、変化はそれだけではありません。ヘルスケア用のアプリは医学の様相を一変させました。それもとても良い方向にです。
生活の一部となったスマートフォン
ほとんどの人がスマートフォンを持つようになったことで、スマートフォン用のアプリも生活に浸透しています。現在38億人近くの人々がスマートフォンを使用しており、健康やフィットネスを目的としたさまざまなアプリが利用されています。常に人のそばにいて、いつでも持ち主に健康管理のためのアラームや通知を送れるというスマートデバイスの特性を考えれば、それを日々の健康管理に使うのは必然と言えるでしょう。
パンデミックの間ヘルスケア用のアプリは爆発的に増加し、医療業界のアプリへの認識も変わりました。新型コロナウイルスの感染者追跡と遠隔医療がモバイルアプリに依存していたことが大きく作用し、医療関連アプリのダウンロードは過去1年間で50%増加しています。
アプリでできるヘルスケア
現在スマートフォンのヘルスケア用アプリでは以下のようなことができます。
医師の検索と診察の予約
様々な医師の検索と専門分野やレビューの確認、予約までが全てアプリ上でできるので、医師が必要な時も早く手軽に診察を受けられます。
オンライン診断
ビデオ通話で医師、セラピスト、栄養士の診察を受けられます。これは病院への通院に不安がある場合特に役立ちます。
薬の使用履歴と副作用の確認
薬を服用している人は皆、いつ薬を飲んでどのような副作用が起ったかを把握しておくことの難しさを知っています。アプリを使用するとすべてを簡単に記録でき、医師や服薬指導者とも情報を共有できます。
生命データの管理
心拍数や血圧など、健康に関するデータをアプリで記録できるため、自分の状態を常に確認できます。医師も同様に患者の健康状態を一目で確認できます。
医薬品や医療品の購入
オンラインストアでは既に処方箋を持っているか、購入に制限がないものであれば、実店舗に行くことなく必要なものをすぐに注文できます。
フィットネスの管理と健康情報の提供
フィットネスアプリの一部は運動の管理をするだけでなく、専門家から健康に関する助言を受けることができて非常に便利です。
このように、ヘルスケア用のアプリはユーザーの多くにメリットがあります。では、医師にとってはどうでしょうか?
医療業界向けのヘルスケアアプリ
既に医師向けのアプリでは生命データや治療のモニタリング、カルテの作成などのすべてをアプリ内で処理できるようになっています。それだけでなく、AIを使って医療提供者と患者をマッチングしてくれるものもあります。
リアルタイムで医師に情報を提供するアプリでは、患者の状態を医師が常に把握できるため、緊急時にも最善の対処ができます。以下は医療従事者向けアプリの例です。
- 診断アプリ
- 患者の医療記録
- スケジュール予約
- 医療文献と医学データベース
- 遠隔医療アプリ
- 生活習慣記録
医療従事者はこれらのアプリを使うことで様々な情報に素早くアクセスできるほか、患者の治療やモニタリングも容易になります。
未来のヘルスケアのあり方とは
ヘルスケア用のアプリがこのまま発展していけば、その先には何があるのでしょうか?現時点でも、新型コロナウイルスの危機から生まれたアプリによって医療はかなり進歩しているように見えます。
たとえば医師はオフィスにいながらにして、自宅にいる患者の健康状態をモニタリングできるようになりました。心拍数や呼吸から睡眠までほぼ全ての情報をカバーできます。ウェアラブル端末を使えば、スマートフォンよりもさらに簡単にあらゆるデータを記録できます。
医師への即時アクセス
アプリから医師の診断を受けることも可能ですが、このサービスはまだ比較的新しいもので、まだ改善の余地があります。将来的には心拍数などの健康データをチェックしてその情報を医師に渡す機能をアプリが備え、診察のほとんどがオンラインで行われるようになるかもしれません。
医療記録への迅速なアクセス
医師が適切な診断と治療を行うには、カルテがいつでも手の届く場所にあることが不可欠です。医師は患者の検査結果や常服薬を知る必要があるからで、これらの正確な情報があれば、医師は常服薬との相互作用を確認した上で薬を処方できます。電子カルテを記録・閲覧するアプリを使えば医師はより早く、効率的に仕事を行えます。
オンライン決済
医療費のオンライン決済は以前から一部の病院で使えましたが、今では決済の選択肢が増えたことで、スマートフォンがあればすぐに支払いができるようになりました。これらの決済アプリの多くは、不正行為を防ぐために指紋や顔認証を使っていますのでセキュリティ面の問題もありません。
カルテの精度向上
カルテをはじめとした医療記録の精度も向上します。それを実現するための方法の一つが、現在多くのヘルスケア用アプリに導入されている機械学習AIです。AIによる学習が進むほどAIの判断も精度を増していくので、 例えば医師が薬の投与量を誤って計算した場合にもAIがミスをフォローできるようになります。現在はまだこの取り組みは初期段階ですが、近いうちに医療の標準になっていくことでしょう。
カルテの間違いを減らしていけば、医師のミスも少なくなります。これは医師と患者双方にとって良いことです。患者はより適切な治療を受けられ、医師や看護師などの医療を提供する側も医療ミスを減らすことができます。
ヘルスケアはモバイルアプリによって確実により良い方向へ変化しています。医師はより精度の高い情報に迅速にアクセスでき、患者はより安全な環境で適切なケアを受けられるようになります。今後もアプリによって医療サービスはさらに向上していくことでしょう。