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オンデマンド医療サービス

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オンデマンド医療サービス

オンデマンド医療サービスと呼ばれる、オンライン上で医師の診断や訪問診療の申し込みができるサービスが急速に普及しています。

このサービスを利用すれば片頭痛やひどい発疹といった辛い症状が出た時にも、病院の待合室に長時間待たされることなく家にいながら診断や治療を受けることができます。

新型コロナウイルスの流行も追い風となり、オンデマンド医療サービスは医療のあり方を一変させてしまうほどの需要の高まりを見せています。医療系メディアのMedical Economicsによると、オンデマンド医療サービスの一つである遠隔医療の市場は2026年までに1,850億ドルを超えると予想されています。

この記事ではオンデマンド医療サービスについて知っておくべき情報をまとめました。

 

オンデマンド医療サービスとは

オンデマンド医療サービスは医師と患者をオンラインで繋げて診断や治療を受けられるというもので、病院への移動や診察待ちの時間を短縮できます。このサービスにはいくつかの種類がありますが、主に以下の2つに分けられます。

  • 遠隔医療
    PCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを通じて医師をはじめとした医療提供者に診断してもらうことができます。
  • 訪問診療
    オンラインで医師とマッチングして訪問診療を受けることができます。インフルエンザや足首の捻挫など、緊急を要さない症状であれば医師が直接患者の家を訪問して治療してくれます。

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主なサービス内容

様々な会社からオンデマンド医療サービスは提供されていますが、その中でも代表的なものの1つであるDoctor on Demandで提供されているサービスを以下に紹介します。

  • 疾病予防
    健康診断や生活習慣に関する相談などのすべてをオンライン上で受けることができます。
  • 急病診療
    急病の人が処方箋を受け取ったり、訪問診療で治療を受けることができます。
  • 慢性疾患
    アレルギー、喘息、糖尿病、高血圧の診断や治療を遠隔医療で行うことができます。
  • 問題行動
    不安神経症やうつ病などの治療を、心理的なプレッシャーが少ない家で治療できます。

 

代表的なサービス

現在オンデマンド医療サービスを提供している代表的な企業とサービスの概要です。

  • Teladoc
    Teladocは電話やビデオ通話を使った遠隔医療と処方箋の受け取り、訪問診療の予約ができます。
  • Amwell
    Amwellは各地の医療機関と提携しており、専用のスマートフォンアプリを通じて医療サービスを提供しています。
  • Heal
    このサービスは午前8時から午後8時までの12時間、年中無休でビデオ診療と訪問診療を提供しています。Healは医師免許を持つ専門医が診療にあたり、主要な保険のほとんどに対応しています。
  • HealthTap
    HealthTapは訪問診療やかかりつけ医の紹介を行っており、個人向けのアプリだけでなく医師用のアプリも提供しているのが特徴です。

 

オンデマンド医療サービスのメリット

オンデマンド医療サービスには従来にはないメリットがあります。

まず最初は自宅で医師の診察を受けられるため、これまで病院に行くことを躊躇していた人の多くが治療を受けられるということです。自宅では通院や入院よりも快適に治療を受けられると同時にプライバシーも守られるため、病院の診察室では言いにくいような情報も安心して話すことができます。

2つ目のメリットは治療費を節約できることです。遠隔医療が特に効果は高いですが、訪問診療であっても節約効果はあります。訪問診療は通常よりも医療費がかかりそうですがむしろ逆で、患者と医師双方にコストの削減効果があります。医師の場合は診療所を運営するのにかかるコストを遠隔医療や訪問診療に切り替えることで大幅に削減できますし、患者の側も積極的に医師の診断を受けることで病気を早期に発見できるため、重病になってから病院に行くよりも医療費を削減できます。

3つめのメリットは利便性です。オンデマンド医療サービスのスマートフォンアプリでは診察の予約や診療費の支払い、診断結果の通知までの全てをアプリのみで完結することができます。またインフルエンザの予防接種や血液検査を受けられる場所を確認できるなど、オンライン医療以外の情報もアプリで確認することができます。

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オンデマンド医療サービスの課題

オンデマンド医療サービスはまだスタートしたばかりですが、さらに普及していくためにはいくつかの課題があります。アメリカ病院協会は、オンデマンド医療サービスの課題を以下のように指摘しています。

  • 保険
    保険は、治療を受けようとする人の多くにとって最初に考えなければならない事柄です。これは患者だけでなく、オンデマンド医療サービスを提供する事業者にとっても同様です。多くのサービスは複数の保険会社に対応していますが、訪問診療ではしばしば、保険を適用することが難しい場合があります。
  • 規制
    医療には複雑な規制があります。サービスを提供する企業は絶えず変化する法律とガイドラインを常に理解してコンプライアンスを遵守する必要があります。
  • 競争の激化
    新しい市場が拡大するにつれ、ベンチャー企業だけでなく、既存の企業も参入を試みます。競争は価格の低下やサービスの向上など消費者にとって良いことをもたらしますが、同時にあなたが使っていたサービスや医療機関が廃業する可能性も高くなります。
  • 遠隔地の対応
    遠隔医療であっても訪問医療であっても、医師と患者の物理的な距離が離れれば離れるほど対応は難しくなります。

 

オンデマンド医療サービスを受ける前に

オンデマンド医療サービスは多くのメリットがありますが、状況によってはこれまでのような診療所や病院での対面医療が適したケースもあります。以下の問いによって、あなたがオンデマンド医療サービスに適しているかどうかを確認できます。

  • 冬などの季節的な条件を含め、診療所に通うのが困難な場所に住んでいますか?
  • 診察に時間を取れないほど忙しいことがよくありますか?
  • 介助なしで家を出るのが難しい障害や病気がありますか?
  • オンラインで医師とやりとりするために必要なインターネット環境と通信機器はありますか?

上記の質問のどれかに当てはまる場合、オンデマンド医療サービスを利用することを検討すべきでしょう。オンデマンド医療に対応した保険会社やかかりつけ医に相談すれば、使い方を詳しく教えてくれます。

オンデマンド医療サービスが普及すれば、あなたが病院を尋ね、待合室で長い時間を過ごすようなことは減っていくでしょう。確実に言えるのは、これからもオンデマンド医療サービスの市場は拡大し、サービス内容も向上し続けるということです。

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