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待合室の未来:遠隔医療とモバイルヘルスが変えるもの
通院したことがある人なら、だれもが待合室で待たされた経験があると思います。特に医師の診察が遅れている場合や、順番をまっている際に時間がかかってしまうケースなどもあります。
そのような混雑したスペースには、多くの細菌やバクテリア、病人がいることがあり、新たに感染してしまう可能性が高い場所にもなってしまいます。遠隔医療とモバイルヘルスは、そのすべてを変えようとしています。
最近、待合室という概念全体が見直されています。パンデミックによって私たちの生活の多くの領域が変化し、混雑した待合室はもはや選択肢ではなくなりました。2020年、ERでの通常の待ち時間は40分~2時間、医師の診察では平均18分も待合室に座っていることになり、多忙な人には長い時間と言えます。
待ち時間を短縮するための事前予約
医師の待合室で待つことにうんざりしている人は、オプションとして事前予約を提供する医師を探すとよいでしょう。これにより、来院時に行わなければならない事務処理の大半が省かれ、医師はあなたの病歴の把握など、事前に準備することができます。必要な情報を把握することができるので、待合室で過ごす時間が一気に短縮されます。
遠隔医療がどのように役立つか
遠隔医療は、患者が自宅にいながら、あるいはオフィスにいながら受診することができます。もはや車で通院する必要はなく、非常に忙しい人でも予定を管理しやすくなり、効率がよくなります。
医師の予約に時間がかかる主な理由は、人々が自分の時間を最大限に活用したいと思うからです。予約のために移動し、書類に記入、待合室で待機など1時間近くを費やすと、患者は医師に自身が抱えている問題のすべてを聞いてほしいと考えてしまいます。その結果、せっかく時間をかけたのであれば、無駄にしたくないといった想いから、診療が長引くことがあります。
遠隔医療は、時間を費やすこともなく、予約も比較的簡単に取れるためこういった問題を解消できます。患者も、特定の問題について医師に相談ができることにより、迅速に解決することができ、待ち時間や移動に時間がかからないので、短い通話でもたいてい満足することができます。
多くの場合、遠隔医療の予約は、対面での予約よりも空いています。これは主に、予約に割り当てられる期間が短いことと、医師が対面の診察よりも多くの通話を行うことができることによります。
予約で3、4週間待ち、当日に待合室でも30分も待たされるよりも、すぐに診療を受けることができた方が、意欲も上がります。それによって人々が医者にかかる可能性が高くなり、健康面もはるかに向上します。
驚いたことに、少なくとも5年間は医者にかかっていないという人が全体の18%もいると言われています。医者にかかるのを避ける一般的な理由は以下の通りです。
[時間がない]
仕事、子供、その他の責任があり、1~2時間の休みを取って受診することができません。
[信用がない]
医師が不必要な処置を勧めたり、失礼な態度をとったり、薬を過剰に処方したりすると感じ、受診を避ける人が多いようです。実際、32%の女性が、担当医に失礼なことをされたと報告しています。
[選択肢がない]
自分の担当医が苦手な人は、通常、その医者を避けるようになります。残念ながらこれは、多くの地域では、唯一利用できる医師を避けることを意味します。
[待ち時間が長い]
多くの場合、患者は予約を取るのに何週間も待たされるため、命にかかわるような問題でなければ、わざわざ電話をかけません。
[貧弱な保険]
多くの場合、医師の診察は保険で完全にカバーされず、自己負担が必要となります。また、保険に全く加入しておらず、医者にかかるお金がない人もいます。
[感染への恐怖]
患者の5人に1人は、待合室から別の病気にかかることを恐れているため、病院を避けてしまいます。
遠隔診療は、これらの問題のすべてを解決するものではありませんが、そのほとんどに大きな効果を発揮します。家から出る必要がないので、別のウイルスに感染したり、待合室で感染症を拾ったりするリスクもありません。これは、多くの患者にとって大きな安心感につながります。
遠隔地での受診は、選択肢が多く、自分が望む医師、安心できる医師を選べるという意味でもあります。また、遠隔診療は諸経費がかからず、実際の診察よりも通話時間が短いため、割安になることが多いのです。
扶養家族の世話をしている人にとっては、自分の問題を医師に相談するには、自宅が一番になります。通院するためにベビーシッターを雇ったり、子どもや高齢の親を一緒に連れて行ったりする必要がないからです。
遠隔医療は、従来の健康管理方法に比べて確実に進歩しています。
モバイルヘルスと待ち時間の短縮
患者のモニタリングに関して、モバイルヘルス技術は医療の展望を完全に変えたと言えます。患者はもはや検査結果が出るのを待つ必要はなく、自分の個人データやバイタルサインを追跡し、その情報を遠隔地から医師にリモートで送信することができるようになったのです。端末によっては、医師が直接健康情報にアクセスできる場合も多くあります。
モバイルヘルス機器には以下のものがあります。
[スマートフォン]
心拍数や睡眠時間など、健康データを入力できるアプリがたくさんあり、これらの情報は、医師と共有される場合があります。アメリカのスマートフォンユーザーの87%以上が、健康やフィットネスのアプリを利用しています。
[リストバンド]
Fitbitsや類似のバンドは、心拍数から血圧まであらゆるものを追跡し、さらに睡眠スケジュールをマークして管理することができます。これによって、医師はあなたの健康状態を調べることができます。
[その他のウェアラブル]
パッチ、バンド、その他多くの種類のセンサーは、あなたの健康を監視するために使用できる様々な情報を医師に提供します。汗で血糖値を調べる新技術も登場し、ほとんどのバイタルはウェアラブルで常時監視できるようになりました。
健康状態を把握できるため、医師は患者を待合室に留め置くことなく、一定期間監視することができます。これにより、待ち時間が短縮され、患者は普段通りの生活を送っているので、より正確な記録が可能になります。
遠隔医療もモバイルヘルスも、待合室のジレンマを大幅に改善したと言えます。たとえ直接受診する場合でも、待合室で30分以上待たされるといったこともなくなってきています。これにより、この1年半で健康状態が大幅に改善されてきており、今後もよりよい環境へと改善され続けるでしょう。