HeartLogic：心臓発作を数週間前に予測するアイテム

 

心臓病は米国における成人の死因の第1位ですが、多くの人は自分が危険にさらされていることに気づいていません。心臓発作が起きても気づかず、心臓に後遺症が残ってしまうこともあります。

 

毎年、約80.5万人のアメリカ人が心臓発作に苦しんでおり、生涯にわたる損傷や死亡を防ぐには早期介入が鍵となります。

 

 

HeartLogicとは？

 

 

医師が心臓発作のリスクがある患者の変化を、監視するために使用できるデバイスです。埋め込まれたセンサーにより継続的なモニタリングが可能で、心臓発作の可能性を示すような異常を感知すると、システムは医師にアラートを送信します。

 

HeartLogicは、心臓発作が起こる前に、体がさまざまなシグナルを発していることを感知します。感度は70％で、遠隔監視システムが設定されているため、患者は自宅にいて、いつもの生活を送ることができます。 このシステムは、心不全の前に患者と医師に薬を調整するための時間を与え、冠状動脈イベントを防ぐためにより抜本的なアプローチを取ります。

 

このシステムは、心不全が差し迫っていることを平均34日前に警告してくれるので、発症するずっと前に対策を講じることができ、潜在的に生じる可能性のある悪い結果を回避できるかもしれません。

 

 

HeartLogicのしくみ

 

 

HeartLogicは、複数のセンサーで構成された医療機器で、心不全の危険性を示すさまざまな症状を追跡することができます。人によって体の反応は異なるため、微妙な変化をとらえるためには、複数の異なる生理学的傾向を追跡する必要があります。これらの情報を総合すると、心臓発作の可能性を示すことができます。この医療機器は、一連の要素に基づいてAIが危険だと判断すると、アラートを送信します。

 

本機は次のような項目を監視します。

 

<心拍数>

基準となる安静時の心拍数を知るために、午前0時から午前6時までの時間帯に心拍数を測定します。この時間帯はほとんどの人が寝ているので、安静時の心拍数の目安となります。

<身体活動>

この数値から、患者が1日に何時間体を動かしているかがわかります。また、疲労度を示すこともあり、潜在的な問題を診断する上での鍵となります。

 

<心音>

心臓発作の前には特定の心音が聞こえることがあります。このセンサーは、S3とS1の心音をチェックして、充満圧の上昇と心室収縮の弱まりを判断します。

 

<胸部のインピーダンス>

電極を使用して、両者の間のインピーダンスをチェックします。肺水腫や、胸腔内に体液が溜まっているかどうかを示すことができます。

 

<呼吸>

呼吸を監視することは、潜在的な心臓の問題を見守る上で重要なことであり、この傾向は、急速な浅い呼吸や呼吸数の変化をチェックします。

 

 

さらに、このデバイスは、HeartLogicのアルゴリズムでは使用されないいくつかの傾向を追跡し、医師が特定の症状が現れる原因がわかるようにします。これらには、患者の睡眠の角度、1日の心房頻拍反応モードスイッチの使用時間、抗頻拍ペーシングの概要、ATPまたはショック療法が行われたかどうかなどが含まれます。

また、外部の体重計を使って患者さんの体重を経時的に測定することもできます。左心室リードがある場合は、そのリードを使ってペーシングした心拍数の割合を追跡することもできます。これらはすべて、効果的な診断を下すのに役立つオプションとなります。

 

 

どのような人がHeartLogicを利用するのか

 

この医療機器は、すでに冠動脈疾患のリスクの高い兆候を示している患者に使用することを目的としています。過去に心臓発作を起こしたことがある患者さんの場合、2度目の心臓発作を予測したり、予防したりすることができます。また、患者の25％は、心臓の症状が出てから1ヶ月以内に再び病院にかかっているため、この装置を使用することで、医師はリスクの高い患者を常にフォローアップする必要なく監視することができます。

 

LATITUDE™ NXT遠隔患者管理システムを用いて、臨床医は患者の症状や安静時の心拍数、体重、活動量などを記録することができます。また、心臓発作の可能性を示すような問題がある場合には、アラートを送信します。

 

医師は、患者が危険にさらされているという通知を受け取ったら、患者に電話して投薬や治療を調整するか、必要に応じてさらに検査を行うことができます。 システム全体は、予防的であり、医療チームが患者の健康と幸せを維持するのを支援するように設計されています。

 

HeartLogicによる患者の転帰の改善

 

 

心臓発作に迅速に対応することで、被害者の生存の可能性が高まり、回復も早くなることがわかっています。しかし、ほとんどの場合、医師は不利な立場に置かれています。患者はすでに冠状動脈の外傷や損傷を受けているため、どのような対策を取ればよいかが限られているのです。

 

心不全の悪化を予測し、その前に治療を行うことが可能になります。これは、患者の見通しがより良くなることを意味します。また、医師と患者の双方にとっても、常に監視することで問題を予測することができるため、安心して治療に臨むことができます。患者は自宅に戻り、医師が遠隔で患者の経過を監視しながら通常の生活を送ることができます。

 

科学は過去数十年の間に非常に素晴らしい飛躍を遂げました。HeartLogicは、遠隔監視と埋め込み型センサーを使用して、医師に患者の情報を提供する新しいイノベーションの1つです。医療介入のための全く新しい世界であり、患者の全体的な結果を大きく変える可能性があります。

 

HeartLogicはボストン・サイエンティフィック社によって開発され、複数の研究が行われています。これらの研究によると、このデバイスは最大で2カ月前に冠動脈イベントを予測するのに有用であり、医師は問題を防ぐためにすぐに対策を講じることができることを示しています。

 

この医療機器は、早期の医療介入により、人々がより長く、より健康的な生活を送れるようにするための未来の波動となるかもしれません。HeartLogicのような埋め込み型センサーを使用したデバイスが、近々多く登場することが期待されます。