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個別化医療が医療と医薬品研究に革命をもたらす7つの方法

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個別化医療が医療と医薬品研究に革命をもたらす7つの方法

 

個別化医療、実践医療とは、その人に合った医療を行うための方法です。15歳の少女と70歳の男性では全く異なりますが、従来では、双方に同じオールマイティな医療を提供することを重視していました。そのため、最悪の場合は重大な誤算が生じ、いずれかの治療効果が低くなってしまいます。

個別化医療では、医師は個人の治療に専念でき、遺伝学からゲノムまで利用し、より効果的な治療を行えます。診断でも、これらの要素を考慮することで、より良い結果が得られます。

つまり、個別化医療はプロアクティブであり、従来の医療はリアクティブであるということです。これは将来の医療にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

 

1. ウェアラブルデバイスが標準になる

最近、健康関連のウェアラブル製品が数多く登場していることにお気づきでしょうか。バイタルサインをモニターするリストバンドから、必要なときに正確にインスリンを供給するポンプまで、あらゆるところに存在しています。これらのウェアラブルが収集した情報は、個人の治療法を微調整するために利用されます。医師は、患者から聞いた動悸の説明を鵜呑みにする必要はありません。デバイスのログを見て、何が起きているのかを正確に把握できます。クラウドに接続されたウェアラブルデバイスを使い、遠隔地から患者を監視することも可能です。これを利用しない手はありません。

 

 

2. 予防に焦点を当てた研究

前述のように、従来の医療はリアクティブ(反応的)なものでした。誰かが罹患すると診断され、治療を受けますが、一部(ワクチンなど)を除き、ほとんど予防策は講じられません。しかし、医療問題が生じてから対処するよりも、予防へ注力する方がはるかに効率的で費用対効果も高いのです。

糖尿病の予防はその好例です。糖尿病のリスクが高い人でも、食生活を見直すだけでリスクを軽減し、発症の可能性を軽減できる場合があります。食習慣を改善し、運動量を増やすことで、生涯にわたる苦しみから解放されるかもしれません。合併症のリスクを減らすためには、予防が重要なのです。

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3. 加齢に伴う病気の減少

終末期の病気の大半は、加齢が直接の原因となっています。心不全、がん、アルツハイマー病などは、加齢に伴う一般的な病気のほんの一例です。アメリカの医療費の約半分は、これらの病気の治療に費やされていますが、治療が必要になる前に、病気を予防できたらどうなるでしょうか。現在、研究の中心は、病気が現れてからの治療ではなく、病気を予測し、予防することです。

 

 

4. DNAが医療診断に大きな役割を果たす時代へ

現在では、簡単なDNA検査により、自分がどのような病気を患う可能性があるのかを知ることができます。自分で採取したサンプルを研究所に送るだけの検査方法も多くあります。その結果、がんや糖尿病などの病気になりやすいか、あるいは特定の食品にアレルギーを起こしやすいかなど、注意すべき点がわかるようになるのです。

このような遺伝子情報があれば、その人に合った医療ソリューションの提供が可能になります。例えば、乳がんになりやすいことを把握していれば、より頻繁に検診を受けることができ、リスクが高まるような治療を回避できるのです。まだ開始間もないですが、将来的にDNAや遺伝子の解析が医療のスタンダードになる可能性は十分にあります。

 

 

5. AIがヘルスケアで大きな役割を果たす

人工知能は過去10年ほどの間に成長し、改良されてきましたが、現在ではより良い健康ソリューションを生み出す方法として研究されています。科学者たちは、AIにMRIを読み取り、その結果を報告するよう教えています。

興味深いことに、AIは人間の医師よりも、危険な状態になるずっと前にがんの腫瘍を診断することに長けています。ここにはまだいくつかの不具合がありますが、この技術は間違いなく存在し、患者をより早く、より効果的に治療するのに役立つでしょう。

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6. 治療はデジタル化される

デジタル医療は、パンデミックの影響もあり、急速に成長している分野です。アプリケーションやテクノロジーを駆使し、健康問題を解決する人が増加しています。テクノロジーを使って特定の医療問題に対処することに賛同する企業が増えれば、この傾向は更に強まるでしょう。

例えば、患者に薬の服用を促すアプリや、薬を飲み忘れた場合に二人目の人に通知するアプリなどがあります。技術の進歩により、薬の中にトラッカーが含有されており、飲み込むとアプリに接続され、薬が正しく使われたことを証明できるようになりました。これにより、薬の過剰摂取や飲み忘れを防ぐことができます。

TENSマシンを使って慢性的な痛みを治療することも、個別化医療が医療をより効果的なものにするために取り組んでいることのひとつです。定期的に新しいデバイスが出るので、今後はそれが加速していくでしょう。

 

 

7. 特定のマーカーに合わせた医療の実現

科学者たちは、病気の詳細を知ることで、その病気を対象とした特定の治療法や療法を考案できます。個別化医療が急速に進んでいる分野の一つに、がん治療があります。例えば、HER2陽性の乳がんには、そのタイプのがんに特化して作られた薬を使用でき、従来のがん治療よりもはるかに効果的です。

遺伝子マーカーの研究はさらに進んでおり、DNAの高速シークエンスも開発され、近いうちに病気の治療がさらにシンプルになるでしょう。

医療の世界が大きな変化の真っ只中にあることは間違いありません。テクノロジーが進化し、科学者たちが人々を分類する新しい方法を発見すれば、病気の治療から予防へと移行することが容易になります。カスタムメイドの戦略を立てられ、その結果、多くの臨床試験に必要なコストと時間を削減することができます。

個別化医療によって、医療分野は大きな変化を遂げ、長期的に人々の健康を維持することができるようになるでしょう。

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