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自動化による製薬会社の製造プロセス変革について

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自動化による製薬会社の製造プロセス変革について

今回のCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)により、製薬業界における敏捷性と拡張性の向上の必要性が浮き彫りになりました。

現在のパンデミックと、今後想定されるパンデミックの見通しに、業界はこれまでよりもはるかに迅速かつ機動力のある戦略を必要としています。研究開発と実際の生産という点において、需要が大幅に増加したことで、製薬業界はスピードを上げるために自動化の導入を積極採用するようになりました。

COVID-19の出現により、製薬業界はこれまでにない速さで新製品の開発テスト、拡張、市場投入することを余儀なくされ、既存のサプライチェーンの柔軟性の見直しが最重要課題となり、迅速な対応への必要性が生じています。

 

RPAと製薬会社の自動化で臨床試験のタイムラインを短縮する

これは、Covidの経験が期待を永久に変えてしまった分野の一つです。私たちは今、技術革新とテクノロジーがいかに臨床試験のタイムラインを短縮できるかを目の当たりにしています。多くの場合、自動化によって短時間で大規模な試験ができるようになりました。そのため、製品開発においても、並列化のためにプロセスを高速化しなければならないというプレッシャーがかかります。

新薬開発の重要な側面の1つは、臨床試験のタイムラインです。これは、新型コロナウイルスの経験が、これまで長く続いてきた仕組みを変えた分野の一つと言えます。私たちは今、技術革新とテクノロジーがいかに臨床試験のタイムラインを短縮できるかを目の当たりにしています。多くの場合、自動化によって短時間で大規模な試験ができるようになりました。そのため、製品開発においても、安定供給の維持のためのプロセスを高速化しなければなりません。

EDC (電子データ収集) 技術が臨床試験で初めて導入されたのは、今から約20年前のことです。これは、臨床試験のプロセスを自動化するための最初のステップの一つで、今日では、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション) 、認知能力や分析力、AI (人工知能) へのアクセスによって、業界は臨床開発をデジタル化し続けることができるようになっています。

ある予測では、製薬用ロボットシステムの世界市場は、2016年の6,437万ドルから2021年には1億1,946万ドルに成長すると予測されており、これは2016年から2021年にかけてのCAGR (年平均成長率) 13.2%に相当します。

 

製薬会社の自動化による迅速なバッチリリース

大量の医薬品を迅速に製造・供給するためには、迅速なバッチリリースが不可欠です。これらには、瞬時に確認できる電子バッチ記録が必要となり、バッチの品質が影響を受ける前に是正措置を講じることができるよう、分析技術も迅速でなければなりません。多くのワークフローがいまだ手作業や紙ベースを中心に行われている世界、およびデータの処理、管理、処理前のクリーニングに多くの時間を費やす業界では、自動化は大きな変化をもたらします。

クリーンなデータとは、より良い洞察を意味し、より良い意思決定につながります。

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品質保証に役立つプロセス分析技術(PAT)について

FDAのような規制当局は、長い間PAT(プロセス分析技術)の使用を提唱してきましたが、技術やインフラの複雑さにより大規模な実用化は比較的遅れていました。しかし現在、PATが普及し始めています。

センサーや適切なデータシステムを導入し、多変数処理によるフィードバックをオンラインでリアルタイムに管理することで、情報を正しく伝達させることができるメーカーが増えています。

これらの技術のおかげで、業界はより優れた信頼性と一貫性を備えた高品質な製品を生産することができます。

 

プロセスの最適化と一貫性の向上

これまで手作業で行っていた処理を自動化することで、時間を節約できるだけでなく、意思決定者は、戦略の基礎となるこれまでにない洞察力を得ることができます。手作業を減らすことで時間を確保し、研究者は管理業務ではなく付加価値の高い仕事に集中できるようになります。これにより、製造プロセスの検証に必要な反復回数を減らし、コスト削減にもつながります。

 

市場投入までの時間短縮と後期臨床試験の自動化

自動化は、より強固な製造プロセスと遅延の低減に貢献しています。そのため、多くの企業やCRO (医薬品開発業務委託機関) が、フェーズⅡやフェーズⅢの研究プログラムのステップの自動化に取り組んでいます。

一方で、これまでのところ、後期の臨床試験の側面を自動化する方法にはあまり重点が置かれていませんでした。これらの段階でもデジタル化の準備は整ってきており、方法を変えることで改善が見込めるでしょう。

試験におけるデータのクリーニングは、時間と費用のかかるプロセスであり、DCT (データ収集ツール) 上の誤ったデータを修正するためには、多くの労力が必要になります。

DCTには、CRF (症例報告書) 、QOL (生活の質)アンケート、または患者の報告書と日誌などのデータが含まれ、一般的に、後期の臨床試験では非常に多くの患者が参加するため、膨大な量のデータになります。この段階で自動化を適用すれば、新薬の市場投入までの時間を短縮できる可能性があります。

また、大量のデータを手作業で整理・更新することは、人的ミスのリスクが高くなり、何千ものデータを手作業で処理するデータ管理スタッフの時間とコストは、将来的にも実現可能とは思えません。自動化により、より質の高いデータを短時間で作成することができます。

 

まとめ

自動化は、製薬業界に大きな影響を与えます。この分野のデジタル化は、COVID-19のパンデミックへの対応として加速されており、現在、多くの分野で大きな進歩が見られています。

自動化が重要な進歩をもたらしている分野は次の通りです。

 

・RPAによる臨床試験のタイムラインの短縮

・自動化による迅速なバッチリリース

・プロセスの最適化と一貫性の向上

・PATによる品質保証に役立つプロセス

・市場投入までの時間短縮と後期臨床試験の自動化

 

研究開発から試験、製造に至るまで、医薬品のプロセスの多くが自動化・デジタル化されることで、さまざまな分野でより急速な進歩が見られるようになります。数多くの健康上の課題に直面している世界において、これらの技術の導入は、今日そして明日の医療問題を解決する上で、大きな期待が寄せられています。

 

 

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