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技術の進歩がもたらす製薬会社の有望な未来
近年、製薬会社は、医薬品開発において、COVID-19のワクチンを記録的な速さで見つけるなど予想をはるかに上回る画期的な進歩を遂げています。GlobeNewswireによると、世界の医薬品市場は2025年までに1.7兆ドル以上に達すると言われています。製薬会社の近い将来には、いくつかの有望な進歩があるでしょう。
薬剤開発における人工知能
人工知能(AI)が、新薬の開発・設計の一部として、ますます重要になると見込まれています。Atomwise社、Turbine社、Deep Genomics社などの企業が、特定の症状に最適な薬剤を特定するためにAIを活用しています。米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)は、人工知能が新薬の設計に役立ついくつかの方法を挙げていました。
- 薬物とタンパク質の相互作用の予測
- マルチターゲットの薬剤分子の設計
- 反応メカニズムの解明
- 新しい治療法の予測を行う
革新的な薬物検査方法
すでに、人や動物ではなく、バーチャルなモデルを使った薬物試験が開始されています。現段階では、シミュレーションで完全に薬の試験ができるわけではありませんが、ハイブリッドなアプローチがすでに行われています。このプロセスでは、実際の人間の代わりに、臓器のシミュレーションとそれを使用した薬の試験が行われます。COVID-19の制約により、従来の治験を行うことが煩雑になったため、2020年にインシリコ医薬品の治験が始まりました。
ロボットによる製造工程
未来の医薬品業界では、ロボットが医薬品の製造を支援し、サプライチェーンの円滑な運営をサポートするようになるでしょう。これにより、製造サイクルが短縮され、必要な薬をより早く市場に投入できるようになります。デンソー・ロボティクス社では、製造工程での作業をロボットで自動化します。これらのロボットは、医療用の製造や薬剤の調合に求められる厳しい衛生要件を満たし、重労働や長時間労働の作業者を助け、手作業の支援が可能になります。
3D医薬品印刷
現在の服薬は、何百万人もの人々が服用しているものと全く同じ薬を用いています。3D医薬品印刷を活用することで、自分専用の薬を最寄りの薬局で作成することが可能になります。病歴や遺伝などの情報をもとに、最適な効果を得るための必要な薬の種類や投与量を決定します。3D Nativesは、3D開発の市場は、2025年までに4億3700万ドルに達する可能性があると報じています。
患者に力を与える
医薬品の開発において患者の力を引き出すことは非常に重要です。患者に治療や議論に参加を要請することで、データにアクセスしやすくなり、実用的なものになります。製薬会社は、医薬品の設計や意思決定の多くの部分に患者の参加を促すでしょう。一般の人々が最大手の製薬会社の取締役に就任し、実際の患者が有益になるような変化を企業にもたらします。
偽造医薬品の削減
偽造医薬品は、世界的な健康危機であり、先進国の医薬品の1%が偽造品、世界的には最大で10%が偽造品であると言われています。偽造医薬品の取引は10億ドル規模のビジネスであり、何百万人もの死亡者が出ています。ブロックチェーン技術は、流通過程で薬を追跡するバーコード記録システムを利用することで、市場に出回る偽造薬の量を減少させます。患者と企業の双方がリアルタイムで追跡を行うことで、犯罪ネットワークの偽造医薬品の製造・販売が非常に困難になります。
今後の医薬品業界は、様々なテクノロジーの進化によって、より効果的な医薬品をこれまで以上に早く市場に投入することが可能になるでしょう。また、製薬会社は患者個人に力を与えると同時に、偽造医薬品の数を減少させるでしょう。