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都市生活の改善のためのAIとビッグデータの働き

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都市生活の改善のためのAIとビッグデータの働き

AIとビッグデータが都市生活を改善する5つの方法

COVID-19の大流行は世界中の都市に多大な影響を与えました。そこで地方自治体は人工知能 (AI) とビッグデータを活用し、都市生活を改善する取り組みを強化しています。この記事では、新しいテクノロジーが影響を与えている5つの分野について説明します。

 

スマートシティはまだ始まったばかり

「スマートシティ」という構想は何十年も前からありましたが、ほとんどの都市はまだ開発段階です。多くの企業は、コンセプトの恩恵を十分に享受するために必要なインフラを構築しているところであり、基盤が整うまでにはまだ長い道のりです。

実際、ロッテルダムにあるエラスムス大学のエラスムスデータ分析センターの調査によれば、ヨーロッパの都市において「都市データプラットフォーム」を実施している都市はわずか35%でした。このようなプラットフォームは、複数のソースからのデータを収集し、結合するための手段です。そして都市がAIを展開して、ビッグデータの可能性を十分に活用するための基本となります。

しかしパンデミックの発生後、効率的なデータ収集と管理の必要性が高まるにつれて、多くの都市がその取り組みを強化するようになりました。よりデジタル化された世界の都市は、ウイルスと戦う上で大きな利点を持っていたことが明らかになったのです。例えば韓国では、確立されたデータHUBによって町はコンタクト・トレーシングを成功させたため、完全なロックダウンを回避することができました。

ここでAIとビッグデータに期待されている、都市生活を改善するための5つの方法を紹介します。

  1. 都市の様子をリアルタイムで把握
  2. COVID-19の拡散防止
  3. 気候変動との闘い
  4. 交通安全の向上
  5. 統合による進捗のスピードアップ

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都市をリアルタイムで把握するために

現在、多くの地方自治体がAIやビッグデータ、IoT (モノのインターネット)に乗り出しています。彼らはその自治体や都市起きたことをリアルタイムで観測することを目標にしています。例えばアムステルダムでは、市がビッグデータとAIを活用して必要に応じタイムリーな介入を行おうとしています。このような知的サービスの利用によって、市民にとってより安全で快適な生活を提供できると考えています。

アムステルダム市のAI責任者であるMaarten Sukel氏は、Science|Businessウェビナーで「私たちはAIを街の目として使っています」と述べました。

アムステルダムではAIとビッグデータをさまざまな方法で展開しています。重要な取り組みの一つは、カメラを使って市からリアルタイムのデータを収集することです。そのために、スマートフォンをゴミ収集車や一般の自転車に搭載しています。その後、それらはアムステルダムの通りで起きていることの画像を撮影し、ストリーミングするために使用されます。これにより、地方自治体が危険な状況をすばやく検出して評価し、対処するための情報が瞬時に提供されます。

Sukel氏はデータのさまざまな使用例を説明しながら次のように述べています。

「どの車がどこで、どの速度で走っているかがわかります。そして、人々が適切な距離を保っているのか、フェイスマスクをしているのかもわかり、それに基づいてデータを分析し状況を解決する方法を見つけることができます。」

 

COVID-19の拡散防止

COVID-19の大流行により、医療と疾病管理が世界中で脚光を浴びており、ほとんどの都市が現在AI技術を用いたウイルス対策に取り組んでいます。人工知能 (AI) とビッグデータは、世界中の自治体が住民のための安全な環境づくりに取り組んでいる中で、感染拡大防止に大きな可能性を持っているといっていいでしょう。しかし、監視することで、公共交通機関への依存を減らすには、大量な情報とその情報を分析してそれに基づいて行動することが必要です。

通勤者が通勤の方法や時間を変えたり、バスの定員数が減ったり、人々が公共交通機関ではなく自転車を移動手段として選ぶようになったりすると、都市はそれに迅速に適応する必要に迫られます。これらの変化を管理するには、やはりテクノロジーが不可欠です。

世界的なパンデミックによるこのような変化の例は、ロンドンで活躍しているUberボートです。このサービスはアプリを通じて予約することができ、ロンドンの市民は川と道路の両方を乗り継いで通勤や観光をすることができます。このシステム運用のためには、IoTやクラウド、センサー、AIなどいくつかの技術を統合する必要がありました。その結果、人々のソーシャルディスタンスの維持を可能にし、よりシームレスで持続可能な旅ができるようになりました。

 

気候変動との闘い

パンデミックのほかに、都市にとって解決すべき課題は気候変動です。そしてこの課題の解決に対して、ビッグデータとAIの活用が重要な役割を果たすと期待されています。

その先頭に立つのがソウル市です。市は自動運転車やロボットを使った配送など「スマートグリーンモビリティ」技術を有効に活用しています。また、オランダの都市ロッテルダムは、ビッグデータとAIを組み合わせ、移動手段として電動自転車やスクーターを市民に提供しています。さらに、目的地までの最短ルートを見つけるためのアプリケーションも提供しています。これらは、技術を利用した排気ガス削減の成功例のほんの一部にすぎません。

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交通安全の向上

都市におけるAIとビッグデータのもう1つの重要な利用事例は、安全性や効率性、持続可能性の観点から交通を改善することです。

モントリオールは、バスや消防車、除雪車などの公共車両にセンサーを取り付けています。このセンサーによって収集されたデータが、ルートを合理化し、市のインフラを安全かつ効率的に利用する方法を見つけ出してくれるのです。これにより、道路の清掃が速くなり、移動時間が短縮され、さらに事故が減少しました。

このようにAIとビッグデータを導入することで、交通の流れを管理し、交通安全について市民にリアルタイムでアドバイスできるようになります。さらには通勤・通学者で混雑するラッシュアワーが無くなるかもしれません。スマートジャンクションはこれらをすべて可能にします。そして、5Gはさらに高速な処理とより高いパフォーマンスを備えているため、これを活用するとさらに快適な交通を利用できると期待されていれます。

 

統合による進捗のスピードアップ

ビッグデータとAIが持っている最大の可能性の1つは、異なる分野が異なる角度から同じ課題に取り組み、分析のための情報へのアクセスを可能にすることです。これは科学の進歩を効果的に加速し、政策立案者や科学者、技術者が都市生活の問題解決に取り組みやすくします。このように異なる部門がデータ・プールを共有し、協力すると迅速で積極的なアクションの見込みが高まります。例えば、これらの技術が低消費電力と水消費を統合し、緑の壁や緑の屋根をつくり、廃棄物管理のためのスマートシステムを可能にしてきました。そしてこのツールは建設部門において採用されようとしています。統合が生み出すこのような進歩には、ビッグデータへのアクセスと情報を分析する能力がかなり貢献しています。

 

スマートシティは未来

スマートシティが完全に機能するためには、さまざまなテクノロジーが連携・統合し、問題点や解決策を伝達する必要があります。この進化の中心には、道路や歩道に関する追加および改善されたデータや既存のインフラストラクチャを制御するリアルタイムシステム、そして車両およびフリートテクノロジーとのインフラストラクチャの統合という3つの大切な要素があります。ビッグデータを収集し、AIがそれを処理・分析することで、都市はより環境的に持続可能なものになるでしょう。

 

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