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新たなGPSアプリ「BlindSquare」

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新たなGPSアプリ「BlindSquare」

BlindSquareは視覚や聴覚に障害をもつ人のために開発された特殊なGPSアプリです。開発者は関連するコミュニティと密接に協力し、屋内でも屋外でもアプリにアクセスできるようにしました。

 

BlindSquare開発の理由

従来開発されてきたGPSアプリには、視覚や聴覚に障害を抱えている人々にとって使用が困難なものが多く見られました。これらのアプリの多くは、徒歩や車の乗客に対するナビゲーションよりも運転をする利用者の案内に重点を置いているためです。

障害を持つ人々が、音声コマンドのような支援機能を備えていない従来のGPSアプリを利用すると、問題が発生する可能性があります。

そこでこのようなGPSアプリの問題に対処し、十分なサービスを受けられなかった利用者を対象としてBlindSquareという新たなアプリが開発されました。これはiOSのGPS機能を利用して、Foursquareのデータベースにアクセスし、Open Street Mapの情報を表示してくれます。アプリケーションはこのデータを分析し、最も関連性の高い情報を明確な音声で共有します。音声コマンドでの案内を受けたり、スマートフォンを振ってアプリを操作したりすることが可能です。

BlindSquareは2012年に運用開始され、現在世界150カ国以上に利用者がいます。

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BlindSquareのメリット

  • 最大の利点は視覚や聴覚に障害を持つ人々に簡単なアクセスを提供し、移動がより快適になることです。BlindSquareのほかに、彼らのスムーズな利用を可能にし、適切なアクセシビリティ機能を提供しているアプリはほとんどありません。
  • スマートフォンを振ることで、現在地の住所や近くの会場、さらに最寄りの交差点などが音声で案内されます。
  • 進行方向と現在地から目的地までの距離が自動的に更新されます。
  • 過去に訪問した場所や周辺で人気のある場所、カスタマイズされたおすすめのスポットなどの情報をもとに、利用者にとって関心のある場所を提案してくれます。
  • 簡単にアクセスできるように、訪問したい関心のあるスポットをマークします。
  • フィルタを使用して音声情報のタイプをカスタマイズすると、最も関連性の高いデータを取得できます。
  • iCloudを使って、保存した場所をアカウント上のすべてのiOSデバイスと同期させます。
  • iOSの内蔵スクリーンリーダーVoiceOverとAcapelaの音声を利用して情報を提供できます。
  • Foursquareのデータと密接に繋がっているので、利用者はFoursquareも利用することができます。会場のチェックインや会場の作成、アップデートなどの機能を利用するにはFoursquareのアカウント情報が必要です。しかしBlindSquareはこれらの機能の利用をより簡単にしてくれます。例えば、目的地に到着したときに自動的にFoursquareのチェックインプロセスを経由してチェックインする設定が可能です。
  • 24の言語に対応しています。
  • 他のGPSアプリケーションから重要なスポットを読み込み、BlindSquareで使用できるようにします。このアプリケーションからスポットを書き出すこともできます。
  • iPhoneさえあればすぐに利用が可能で、その他のアクセサリは必要ありません。しかし、開発者が推奨しているデバイスをここで紹介します。例えば、骨伝導ヘッドフォンのBone conduction、またはAirDrivesヘッドフォンです。これを使用すれば、音声案内をより明瞭に聞くことができます。もしヘッドフォンを装着したくないなら、Bemワイヤレススピーカーバンドも推奨されています。また、専門家やセラピストが視覚障害者や弱視者にこのアプリの使い方を教える際は、Bluetooth Splitterを使用してアプリの音声案内を聞くことができます。
  • アプリから連絡先や住所、Twitterフィード、レストランメニューなどに直接アクセスできます。さらに電話をかけることもできます。
  • 車に乗っているとき、アプリケーションは自分の前方にある注目ポイントに焦点を合わせてくれます。また各交差点の位置を把握することが可能なので、乗り換え案内が聞こえにくい場合でも目的の停留所で降りることができます。

 

BlindSquareの欠点

このアプリの最大の欠点は、iOS 5以降のデバイスでしか利用できないことです。具体的には、iPhone 4以降が必要ですが、それ以前のモデルではGPS受信機の精度が低くなってしまいます。また、このアプリに慣れるには時間がかかりますが、直感的に操作できるような作りになっています。

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BlindSquareの価格

ここまで紹介してきたサービスはBlindSquareとBlindSquare Eventの2種類のアプリで利用できます。

BlindSquareは個人向けの有料アプリで、アプリ自体は39.99ドルです。そしてユーザーベースの音声コマンド料金5.99ドル (音声コマンドクレジット200件分) 、9.99ドル (400件分) の料金がかかります。

一方BlindSquare Eventは、新たな利用者向けの登録イベントで利用できる無料版のアプリケーションです。そのイベントに参加すると、BlindSquareの有料機能のほとんどを利用することができます。

 

BlindSquareの利用者の声

アプリへの評価は概ね高く、また開発者は視覚障害者や視覚障害者のコミュニティからのユーザーフィードバックを取り入れています。

 

競合アプリについて

ここでBlindSquareと競合しているアプリとデバイスを二つ紹介します。

Lazarillo GPS for Blindは、BlindSquareと似た機能を持つアプリです。このアプリの開発者もまた、視覚障害者のコミュニティと密接に協力し、簡単なアクセスを可能にしました。音声アナウンスを使って周囲の最新の情報を提供し、バックグラウンドで機能してくれます。また、利用者はキーボードか音声コマンドを使用することで、場所の検索をしたり、場所カテゴリを調べたりできます。さらに現在の場所に関する最新情報も取得できます。このアプリはBlindSquareほど機能が充実していませんが、無料なので利用しやすいといえます。

もう一つのデバイスはGPS機能を備えたVictor Reader Trekという視覚障害者向けの音声ブックプレーヤーです。この専用デバイスは、オーディオブックやポッドキャスト用の使いやすいプレーヤーを提供しており、いくつかの便利なGPS機能を備えています。1つのボタンを押すと、現在の住所、進行方向、次の交差点、ルートをたどるための次のステップが表示されます。また、音声タグ付きスポットの作成や、電話のキーパッドでの入力もできます。しかしVictor Reader Trekの価格は795ドルと高額なのがデメリットです。

以上の二つのアプリと比較すると、BlindSquareは、視覚障害者だけでなく弱視者も利用できるGPSアプリであることがわかります。FourSquareやOpen Street Mapとの情報共有は利用者にとって正確な情報を提供し、幅広い言語サポートは世界中の人々に快適な操作を可能にしてくれるでしょう。

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