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IoTと私たちの“つながり”がもたらす社会的役割

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IoTと私たちの“つながり”がもたらす社会的役割

IoT(Internet of Things)とは、世界中の何百万ものアイテムとインターネットとの“つながり”のことです。日常生活で使用するほぼすべてのものが、インターネットだけでなく、いまや様々なデバイスに接続されています。政府も民間企業も、あらゆる画期的な方法でIoTを普及させ、市民の利用を促進し、生活を改善させようとしています。このインターネットとのつながりが、私たちの生活の身近なところで、多くの役割を果たしています。

 

公共交通機関の改善

タクシーを探しているときも、電車の時刻表を探すときも、インターネットは常に公共交通機関の仕組みを改善しています。ここで、IoTが公共交通機関を改善している具体的な例をいくつか紹介します。

  • 列車の確認
    スマートフォンを使えば、どの駅から列車がいつ到着し、いつ出発するかを簡単に調べることができます。GNCによると、電車に搭載されているGPSシステムは、“すべての車両の位置情報をリアルタイムで提供することができる”からと伝えています。そのおかげで、人々はより簡単に公共交通機関を調べられるようになり、効率的に移動できるようになりました。加えて、インターネットはバスとも接続していているので、市中の移動がより簡単に、かつ迅速に行えます。
  • データの解析
    電車とバスの接続が良いということは、交通機関の接続に関する情報がちゃんと収集できているということを意味します。公共交通の専門家は、このようなデータを研究し、必要な改善を行っているのです。
  • WiFiの提供
    電車やバス車内のWiFiがさらに普及していけば、移動中にもインターネットにアクセスでき、わたしたちの社会的関与がますます高まります。
  • 乗客の安全性の向上
    行動を検証できる顔認識分析機能を活用することで、公共交通機関がすべての人にとって安全なものとなります。今後もこの技術はますます進歩し改善していくでしょう。

気象の危険性を伝える

気象警報は、情報が正確で、タイムリーに送信されてこそ有効なものです。効果的な気象警報を発信するためには、不便を解消しながら、各々が互いに協力をし合う必要があります。それはまず政府機関に正確な気象データが送信されるところから始まります。

政府機関は、IoTによって、気象センサーとモバイルデバイス間で通信を行うシステムを管理することができます。わたしたちが、タイムリーな気象情報を受け取れるだけでなく、緊急時に外部からメッセージを受信する機能も備わっていなくてはなりません。例えば、洪水の際には、道路にある警報を発するセンサーからデータを受信し、IoTシステムが受信したデータをもとに道路状況を運転手に伝えることも可能です。また、河川沿いのデータセンサーから、政府機関、緊急対策チーム、近隣地域の住民に情報を送ることができます。その人たちの位置情報によって受け取る情報は変わるのです。

インターネット接続により、国の機関だけでなく、地方の機関とも連携することができます。米国海洋大気庁(NOAA)は、洪水情報や一般的な気象予報を含む様々な気象関連データを提供しています。調整された戦略と必要なデータをタイムリーに市民に提供することは、市民の安全を守る上で極めて重要です。IoTは、これらすべての様々な機関が市民の意識と関心を向上できるように、常に改善を続けています。

IoT、気象警報

環境汚染の監視とコントロール

スマートデバイスは、気象アラートと同様に公害に関する情報を受信することも可能です。天候と公害は相互に影響し合い、それぞれの状況は絶えず変化しています。スマートシティ・カウンシルは、このような情報を一般市民が簡単に入手できるようにすることで、健康と生活の全体的な質を向上させることができると述べています。

IoTを使えば、デバイスの操作をしなくても、環境汚染のモニタリングが可能です。データはソースから現在のリスクを評価するシステムに直接送られます。まず専門機関がそのデータを受信します。専門機関では、一般市民に知らせるべきかどうか、知らせるならばいつ、どのようなタイミングで知らせるべきかを判断します。

このような情報を活用した例としては、都市のある地域で大気の状態が悪いときに、喘息持ちの人に警告できるアプリがあります。このような情報は、仕事に吸入器を持っていく必要があるかどうか、もしくはその日在宅勤務するかどうかを決める際の判断材料として活用できます。

フィットネスと安全性の向上

大都市部において、活動的で健康的な生活を送ろうとすると、時に困難を伴います。安全を提供することは、市民のフィットネスを促進することにもつながります。インターネット接続を利用して、個人の安全を確保しながらフィットネスを促進することで、健康意識を高めることに役立ちます。

  • フィットネスの選択肢を提供 – IoTはモバイルフィットネスアプリ、エクササイズ機器、ウェアラブルデバイスにも接続可能です。どこでも簡単にエクササイズや健康維持ができるようになっています。アプリやデバイスは、個人が自宅でワークアウトをしていても、公園でランニングをしていても、基本的なデータを継続的に追跡、分析することができます。
  • 健康支援の提供 – 運動する前、運動中、運動後には、IoTが呼吸や心拍数などの基本的な身体活動をモニタリングすることが可能です。これにより、個人が最適なワークアウトのルーチンを作成し、効果的に進捗状況をモニタリングできるようになります。
  • 共有可能なデータ – 目的が競争であれ、楽しみであれ、または単に良いワークアウトをすることであれ、アプリビルダーは、個人がワークアウトデータを共有できるようにしています。“IoT for all”によると、これらの新しいアプリは、ソーシャルメディアを含むさまざまな方法で人々をつなぐことができるようです。
  • ウェアラブルデータ – コロナ禍にジムでエクササイズをしたり、自宅近くでランニングをしたりすると、安全性が気になるものです。リストバンドがあれば、運動中に他の人に近づきすぎている場合にはアラートが鳴るように設定できます。運動中に他の人に6フィート以内近づいた場合にもアラートを鳴らすことが可能です。

IoT、公園、レクリエーション活動

公園・レクリエーション活動の奨励

現状、多くの人が地域の公園やレクリエーションエリアを最大限に活用できていません。WiFiが一律に普及されていなかったり、その他テクノロジー問題もその原因です。現在、公共の公園では、来訪者を増やすためにさまざまなテクノロジーが導入されています。屋外のスマートテクノロジーには、以下のようなものがあります。

  • コネクティビティの促進 – 公園内の至る所に無料の高速インターネットと充電ステーションを設置することで、より多くの人が訪れ、長く滞在することができます。
  • 拡張現実アプリ – Sea Leve lは、拡張現実(Augmented Reality)アプリが公園の活動への参加を促進するのに役立つと報告しています。子供たちがスマートフォンでこれらのアプリを開くと、さまざまなアクティビティや学習のためのゲーム等に参加することができます。
  • ジオキャッシング – これは昔ながらの宝探しと現代のテクノロジーを融合させたものです。モバイルアプリとGPS技術を組み合わせて、地元の公園で手がかりを探すことができます。テクノロジーを駆使した宝探しに参加して、実際の宝物を見つけられるなら、間違いなく人々が社会的関与を高めるきっかけとなり、さらに観光客を増やすことにもつながります。

エネルギーコストの削減

エネルギーコストの削減は、個人のとっても環境にとっても重要な課題です。多くの場合、明細書や請求書を受け取るまで、自分がどれだけのエネルギー消費をしているか分からないものです。現在、新しいテクノロジーは、個人が日常で消費するエネルギー量を変えつつあります。

GovThinkによると、IoTは家庭や企業での水の使用量やエネルギー消費量を追跡できるのだそうです。個人が水道や電気の使用量を把握していれば、全体の使用量を管理する上でより賢い判断ができるようになります。家電製品に搭載されたスマートセンサーは、家庭のエネルギー使用量を正確にモニタリングするためのツールです。このような私たちの取り組みは、個人がエネルギーコストを削減できるだけでなく、すべての人が気候変動と戦い、環境を改善することにも役立ちます。

個人がエネルギーコストを削減するために、自宅で使用できるホームオートメーションツールがあります。メーターシステムはその一つで、居住者が自身のエネルギー使用量を確認し、使用量の削減に積極的に参加できるようになります。また、持ち家の場合は、IoTに接続可能なソーラーパネルや風力タービンなどの様々なグリーンエネルギー源を使用することがあります。

IoT、エネルギーコスト、コスト削減

データアナリティクスの利用可能化

人々がより社会に関わっていくための第一歩は、データを公共の場で利用できるようにすることです。しかし、適切なツールがないと、大量のデータを理解したり、活用したりすることが困難になってしまいます。データ分析は、データの可能性を引き出すために必要なツールです。アナリティクスとは、特定のまとまったデータからパターンを見つけ出し、重要な情報を導き出せる技術です。

  • 学校の成績
    一部の学区では、保護者の関心を高めるために、学校の成績に関するさまざまなデータを掲載しています。このデータには、テストの点数から特定のプログラムの対象となる生徒の割合まで、あらゆるものが含まれています。
  • 医療の選択
    病院に関するデータ、利用可能な医師の種類、診療所の営業時間などは、どのような医療を選択するか、予約を取るのに最適な時間帯はいつか等を決めるのに役立ちます。医療情報に簡単にアクセスできれば、市民が医療サービスを受けやすくなり、公衆衛生の向上につながります。
  • ローカルアプリ
    The Hillによると、ロサンゼルスでは市民はいくつかの無料アプリにアクセスすることができるそうです。これらのアプリには、街灯が壊れたことを報告したり、地震に関する情報を受け取ったりする機能が含まれています。地域住民にオープンデータを提供することで、道路の穴の場所を特定したり、コミュニティ全体の水質を維持したりするのに役立つかもしれません。

これらは、私たちがの社会的関与を促進する上で、IoTがいかに強力なツールであるかを示すほんの一例に過ぎません。企業だけでなく、政府のすべてのレベルにおいても、データとそのデータを効果的に利用するためのテクノロジーツールの両方を利用できるようにすることが、これまで以上に重要になっていきます。

 

まとめ

IoTを通じて、人々の社会的関心は絶えず改善されています。データ分析の利用、エネルギーコストの削減、フィットネスレベルの維持、公共交通機関の改善、気象条件のモニタリングなどは、人々の関心を高める方法のほんの一例です。

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