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スマートシティを実現に導くIoTアーキテクチャとは何か

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スマートシティを実現に導くIoTアーキテクチャとは何か

近年話題に上ることの多いスマートシティですが、その実現方法を具体的に語っている人はあまりいません。私たちがこれからスマートシティを作り上げていくためには、その中で重要な役割を果たすIoTアーキテクチャについての理解を深めることが大切です。この記事では、スマートシティを実現するIoTとそのアーキテクチャについて詳しく説明します。

 

IoTアーキテクチャとは?

IoT(モノのインターネット)は、様々な機器がネットワークでつながるというだけの単純なものではありません。それにはネットワーク上の膨大な情報をまとめる様式が必要で、その様式に沿ってハードウェア、ソフトウェア、リソース、システムのすべてを一つのシステムフレームワークに統合しなくてはなりません。そのために必要になるのが、システム全体を構成するための設計思想となるIoTアーキテクチャです。

IoTアーキテクチャはいくつかの層で構成されており、それぞれがどのように機能するかを認識する必要があります。

1:モノ

この層は現実世界からデータを収集する役割を持ち、ネットワークに接続されたデバイスやデータを計測するセンサーで構成されています。センサーはカメラや温度計、電力計として街に単体で設置されることもあれば、GPSなどスマホをはじめとした機器に搭載されることもありますが、どちらの形であってもセンサーの収集した情報を処理し、動作を制御するアクチュエーターとセットで動作します。

2:IoTゲートウェイ

センサーで収集されたデータはフィルタリングによって分類、整理された後にクラウドに保存されますが、この時に各端末から送られてきたデータの中継処理をするのがIoTゲートウェイです。IoTゲートウェイには常時大量のデータが流れるため、この層でのデータ処理を効率的にすることがシステム全体にとって重要です。

IoTゲートウェイは収集されたデータを利用しやすい形式に変換して、システム全体のデータの利用効率を高めます。またここはIoTアーキテクチャにおけるセキュリティの主要部分でもあり、データの漏洩や潜在的な攻撃を防ぎます。

 

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第3層:エッジアナリティクス

IoTゲートウェイを通ってきたデータを一次解析し、システムに必要なデータを選別する役割を担うのがエッジデバイスで、ここで行われる解析処理がエッジアナリティクスです。この解析により必要なデータだけをクラウドサーバーにアップロードできるため、全てのデータをサーバー経由で処理するクラウドプログラムよりもはるかに高速で、データを迅速かつ効率的に処理することができます。エッジアナリティクスはスマートシティのような大規模プロジェクトに最適で、高速であるのに加え、使用電力や帯域の面でも優れています。

第4層:データセンター

エッジアナリティクスで処理された各種データがアップロードされるのがデータセンターです。データセンターにはデータを蓄積、分析し必要に応じてさまざまなサービスに活用する役割を持つクラウドプラットフォームがあり、アップロードされたデータを元にAIが必要な意思決定を行います。IoTアーキテクチャの中ではAIはここに集約されます。

このようにIoTアーキテクチャは各層で適切な処理を行うことでデータを安全に保ち、命令に対して最適な選択肢を速やかに実行できるように設計されています。

 

IoTアーキテクチャによるスマートシティの構築

IoT技術によって、各デバイスから都市の全体までをモニタリング・遠隔管理することが可能になりました。都市の至る所にあるセンサーは、スマートシティの設計者が必要なデータを収集することを可能にします。各センサーはインターネットから遠隔制御され、データ収集を行います。

スマートシティではIoTを積極的に活用することで、都市とその住民にさまざまなメリットがもたらされます。以下はその代表例です。

各種インフラの効率化:スマートシティではセンサーが公共インフラの使用状況を監視し、利用統計などの必要な情報を提供できるため、これらの使用量を調整してロスを防ぐことで、より効率的な運用が可能です。例えば、水の使用量が少ない夕方や朝の時間帯を選んで庭の水撒きをした人に何らかの特典が与えられるようにすることも可能です。

顔認識:顔認識を活用できる場面は数多くあります。犯罪が発生した時には現場近くのカメラから画像を集めて検索を行い、犯人を追跡することができます。同様に誰かが行方不明になった場合も、顔認識を使って簡単に見つけることができます。

インテリジェントパーキング駐車場では空きスペースがある場所を事前に知らせることができるため、ドライバーは空いている駐車場を探しに車を走らせる必要がなくなります。これによって膨大な時間を節約できます。

照明の管理すべての都市には光が必要で、スマートシティもまた例外ではありません。IoTによって照明を自動的に制御することで、照明や電力の浪費を減らすことができます。例えば明るい夜に照明の明るさを自動的に調整したり、雲で光が遮られているときに自動で点灯したりできます。

公共交通機関の効率化:都市において公共交通機関は人々の移動手段として貴重な役割を果たしています。バスや電車は最も一般的な選択肢であり、その効率性は都市に大きな影響を与えます。IoTアーキテクチャでは、さまざまな公共交通機関のダイヤや乗客量を常時監視、把握してより効果的に利用できるようにします。

通知:IoTではコミュニケーションもはるかにシンプルになります。スマートシティでは特定の建物の前を歩いている住民にそこで行われているサービスを通知することができるほか、行政からのお知らせや情報も必要な住民に直接送ることができます。

環境への影響を低減都市全体の交通量やエネルギー使用量をセンサーでモニタリングし、AIアプリケーションによって管理することでより適切なエネルギー使用が行われます。エネルギーの無駄が少なくなり、都市生活が環境に与える影響も軽減されます。

交通安全:IoTの使用例として街を安全に走行する自動運転車の話を聞いたことがあると思いますが、活用方法はそれに留まりません。見通しが悪く交通事故が起りやすい場所を遠隔監視するなど、さまざまな方法で道路をより安全にできます。

都心のモニタリングIoTのおかげで、1つの拠点から都市全体をモニタリングすることが可能になりました。スマートシティでは、モニタリングで得られた膨大な情報をAIで処理することで、効率的な意思決定を行います。

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交通の調整:交通センサーによって、管理者は交通量の多い場所を把握することができます。状況に合わせて信号機を調整し、よりスムーズな交通の流れを作れます。

緊急警報:都市のインフラ全体に設置されたセンサーによって緊急事態を早期に検知でき、速やかな救助活動が行えます。火災が発生した場合は自動的に必要な緊急対応を行い、消火のための措置をとれます。

スマートシティの構築において大きなポイントとなるのがIT技術の統合です。データを収集し、そのデータに基づいて意思決定を行い、より効率的なシステムを構築する必要があります。

IoTはスマートシティという大きなシステムの中で重要な役割を持つものです。適切なアーキテクチャと構造を採用すれば、都市に設置されている多くのシステムを効率的に管理でき、優れたスマートシティを構築する手段となります。システムがスムーズに稼働すればするほど住民の満足度は高まり、あらゆる時間とコストを削減できることでしょう。

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